現在開催中の「第21回はすまつり」も、8月11日(日)の最終日を見据えながらのラスト・スパートを切っております。そのイベントが開催されている「花はす公園」が位置する南条でも、堂宮地区を中心に点在する蓮田では旧盆(8月下旬)に関西方面で用いられる花はす「誠蓮(まことばす)」の刈り取り及び出荷作業が行われています。
今回は、この現場へと潜入しましょう。
午前5時。朝もやと淡い光が差す南条・堂宮の蓮田へ到着しました。地区の中を少し歩くとこのようなお宅が…
ここのお宅が、今回誠蓮を出荷する「南条蓮生産組合」さんの拠点のようです。
程なくして、各農家さんは手に鎌を携えてそれぞれの蓮田へと散じ、刈り取り作業が始まりました。みな股下まである長靴を履き、誠蓮のもとへ足を踏み入れます。その蓮田の底は、いったいどのような感触を長靴の底へと返すのでしょうか…?
ある程度の長さを見たうえで、花はすの茎を刈って、そしてまた刈っての繰り返しです。こうして収穫された花はすは、写真のように所々にあるかごの中へとまとめられます。ところで、この写真には花の部分に蓮の葉が被さっていますが、これは直射日光や雨によって花が変色するのを防ぐためにしているとの農家さんの言葉です。知恵が光りますね。
作業開始から1時間経過した午前6時。海沿いの河野方面で雨が降っていたという情報を事前にキャッチしていたため、何だか不穏な予感は持っていましたが、見事に的中。降り出した雨はその雨脚を急激に強くし、あぜ道のアスファルトを一瞬で水浸しにしてしまいました。私も撮影を中断したのですが…
木陰へと逃げ込んだ直後の一枚。さっきまで麦わら帽子だったのが、蓮の葉の帽子に変わっていました。その葉の大きさから、僧侶などがかぶる網代笠みたいに私には見えたのです。なお、数分後には私もその笠に見立てた蓮の葉をかぶっていたのでした。
懸念した雨もすぐに上がり、代わって強い日差しが差しこんできました。それでもひたすらに、蓮田の中を刈り取りながら往復します。
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今回行われている出荷作業も「はすまつり」と同じく8月11日までとのことであり、この季節を象徴する風物詩もまた、間もなく終わりを迎えます。中には、この後鯖江にある企業へ出勤した若手の方もいらっしゃったこともあり、地域にとっては殊に重要な出来事なのだろうと思います。南条という地域と花はすという関係は切っても切れないものとなっていますが、ただ観賞用としてだけではなく、産業として重要な要素を担っていると感じながら、私は誠蓮を「箱ごと」持ち帰ったのでした。
[川村]